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閃<せん>のうつし 髙畑紗依の情景

鯖江 秀樹=評

途中

2021. 6. 4 -6. 20

氵 さんずい

photo & video  by IMAKI Kenji

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閃 (せん)のうつし 髙畑紗依の情景

評 | 鯖江 秀樹

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途中について

 

毎日バスで通る道には木蓮の並木があって、三月の下旬になると白い花を咲かせる。やがて花弁が歩道にぼたぼたと落ち、あたたかくなってくると、落ちた花にかわって黄みどり色のつややかな新芽がはえ、太陽に向かって少しずつ、大きくなっていく。最初は若葉の色をしていた葉も、気温が上がるにつれ丈夫な緑色になるのを、バスの中から見ていた。今では木蓮の木は深緑の葉に覆われ、天気も次第に雨の日が増えてきた。

雨の日は、部屋の隣の保育園の運動場が水びたしになる。運動場に広がる水面には、保育園のあかりが映り、雨粒でゆらいでいる。

晴れ間が差し込む日に、通りかかった駐車場のような場所のコンクリートの壁には小さな穴のようなものが空いている。もしくは鏡がとりつけてあって、こちら側か、壁の向こう側に見える緑、庭のようなものが光っているように見えた。

 

ここへ来た日の夕方、綺麗な紫色に空が染まっていた。電気をけすと、空の色が部屋いっぱいに広がっていた。徐々に部屋が空の色を失い始め、電球の、ぼんやりとした色に変わっていく。

木は長い時間をかけて成長し、水たまりはすぐに蒸発してしまう。建物は永遠にあるように思えるがあっけなくなくなっていく。いくつものものごとが、一秒、一分、一時間、一日、一年と、それぞれの時間をもって刻々と変化していく。

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